低血圧は、一般的に「血圧が低すぎる状態」を指しますが、具体的にどの数値からが危険(やばい)とされるのでしょうか?また、低血圧が引き起こす症状や、日常生活での対策についても詳しく解説します。低血圧に悩む方や、健康管理に興味のある方はぜひ参考にしてください。

低血圧の定義

低血圧とは、一般的に収縮期血圧(最高血圧)が100 mmHg以下、拡張期血圧(最低血圧)が60 mmHg以下の状態を指します。ただし、血圧の基準値は個人差が大きく、一概にこの数値以下が危険とは言えません。低血圧の診断は、血圧の数値だけでなく、自覚症状や日常生活への影響も考慮されます。

低血圧の種類

低血圧は、以下の3つのタイプに分類されます。

  1. 本態性低血圧
    原因が特定できない低血圧で、体質的な要素が強いとされています。特に症状がなければ治療の必要はありませんが、めまいや立ちくらみなどの症状が現れる場合は注意が必要です。
  2. 起立性低血圧
    急に立ち上がったときに血圧が低下し、めまいや立ちくらみが起こる状態です。高齢者や脱水状態の人に多く見られます。
  3. 二次性低血圧
    他の病気や薬の副作用が原因で起こる低血圧です。心臓病や内分泌疾患、貧血などが原因となることがあります。

低血圧の危険な数値は?

低血圧の数値がどこから危険とされるかは、個人差がありますが、一般的には以下のような目安があります。

  • 収縮期血圧(最高血圧)が90 mmHg以下
    この数値以下になると、めまいや立ちくらみ、疲労感などの症状が現れやすくなります。特に60 mmHg以下になると、臓器への血流が不足し、深刻な状態になる可能性があります。
  • 拡張期血圧(最低血圧)が50 mmHg以下
    この数値以下になると、脳や心臓への血流が減少し、意識障害や失神のリスクが高まります。

ただし、血圧が低くても自覚症状がない場合は、必ずしも治療が必要とは限りません。一方で、血圧が正常範囲内でも、めまいや立ちくらみなどの症状が現れる場合は、医師に相談することが重要です。

低血圧の症状

低血圧の主な症状は以下の通りです。

  1. めまいや立ちくらみ
    特に起立性低血圧の場合、急に立ち上がると脳への血流が一時的に不足し、めまいや立ちくらみが起こります。
  2. 疲労感やだるさ
    低血圧の人は、全身の血流が悪くなるため、疲れやすく、だるさを感じることが多いです。
  3. 冷え性
    血行が悪くなるため、手足が冷えやすくなります。
  4. 頭痛や肩こり
    脳への血流が不足することで、頭痛や肩こりが起こることがあります。
  5. 動悸や息切れ
    心臓が血液を送り出す力が弱まるため、動悸や息切れを感じることがあります。
  6. 集中力の低下
    脳への血流が不足することで、集中力が低下し、仕事や学業に支障をきたすことがあります。

低血圧が危険な場合

低血圧が危険な状態となるのは、以下のような場合です。

  1. 意識障害や失神
    極端に血圧が低下すると、脳への血流が不足し、意識を失うことがあります。失神による転倒で、頭部を打つなどの二次的な怪我のリスクもあります。
  2. 臓器機能の低下
    血圧が極端に低い状態が続くと、腎臓や肝臓などの臓器への血流が不足し、機能が低下する可能性があります。
  3. ショック状態
    血圧が急激に低下し、全身の臓器に十分な血液が供給されない状態を「ショック状態」と呼びます。この状態は生命に関わる危険な状態であり、緊急の医療処置が必要です。

低血圧の原因

低血圧の原因は、以下のようなものが考えられます。

  1. 体質
    特に若い女性に多く見られる本態性低血圧は、体質的な要素が強いとされています。
  2. 脱水
    脱水状態になると、血液量が減少し、血圧が低下します。夏場や運動後には特に注意が必要です。
  3. 栄養不足
    極端なダイエットや偏食により、栄養が不足すると、低血圧を引き起こすことがあります。
  4. 心臓の病気
    心筋梗塞や心不全など、心臓の機能が低下すると、血液を送り出す力が弱まり、低血圧になることがあります。
  5. 薬の副作用
    降圧剤や利尿剤などの薬の副作用で、血圧が低下することがあります。
  6. 内分泌疾患
    甲状腺機能低下症や副腎不全などの内分泌疾患が原因で、低血圧が起こることがあります。

低血圧の対策

低血圧の症状を改善するためには、以下のような対策が有効です。

  1. 適度な運動
    適度な運動は、血行を促進し、血圧を安定させる効果があります。特にウォーキングや軽い筋トレがおすすめです。
  2. 水分補給
    脱水を防ぐために、こまめに水分を補給しましょう。特に夏場や運動後は、意識的に水分を摂取することが重要です。
  3. 塩分の適度な摂取
    低血圧の人は、塩分を適度に摂取することで血圧を上げることができます。ただし、過剰な塩分摂取は高血圧の原因となるため、バランスを考えて摂取しましょう。
  4. 規則正しい生活リズム
    不規則な生活は、自律神経のバランスを乱し、低血圧を悪化させることがあります。十分な睡眠と規則正しい生活リズムを心がけましょう。
  5. ゆっくり立ち上がる
    起立性低血圧の人は、急に立ち上がらず、ゆっくりと動作をすることで症状を軽減できます。
  6. 栄養バランスの良い食事
    特に鉄分やビタミンB群を積極的に摂取し、貧血を防ぐことが重要です。また、朝食をしっかり摂ることで、1日の血圧を安定させることができます。

低血圧の治療

低血圧の治療は、症状の程度や原因によって異なります。自覚症状が軽度であれば、生活習慣の改善で対応できますが、以下のような場合は医師に相談しましょう。

  1. 薬物療法
    症状が重い場合や、起立性低血圧が原因の場合、血圧を上げる薬が処方されることがあります。
  2. 原因疾患の治療
    二次性低血圧の場合、原因となる病気の治療が優先されます。例えば、心臓病や内分泌疾患が原因であれば、その治療を行います。
  3. 生活指導
    医師や栄養士による生活指導を受けることで、低血圧の症状を改善することができます。

まとめ

低血圧は、必ずしも危険な状態とは限りませんが、自覚症状がある場合や、極端に血圧が低い場合は注意が必要です。特にめまいや立ちくらみ、失神などの症状が現れた場合は、早めに医師に相談しましょう。日常生活では、適度な運動や水分補給、栄養バランスの良い食事を心がけることで、低血圧の症状を改善することができます。自分の体調と向き合い、無理をせずに健康的な生活を送ることが大切です。